Reportイベントレポート

2022年03月29日
SDGsアクション 循環型社会に向けた取組み

六甲で学ぶ!SDGs 食とエネルギーと森林(もり)

国連で世界が合意した2030年までに世界をよりよくするための持続可能な開発目標SDGs。
最近メディアなどでも盛んに取り上げられるようになり、あちらこちらでSDGsの17の目標のロゴなどを見かけるようになりました。
今回はSDGsに関連した持続可能な取り組みを実際に見学や体験して学ぼうという企画で、関西でも有名な六甲山を舞台に、持続可能な酪農を実践されている弓削牧場と、生きた植物本来の姿を樹林として生態展示している神戸市立森林植物園の見学に行きました。

午前中は弓削牧場で長年酪農に取り組んでこられた弓削忠生さん・和子さんご夫妻に牧場内をご案内いただきました。

弓削牧場では自動搾乳マシンを導入しており、牛たちがお乳を出したくなったら自分からマシンへやってきて、24時間自動で搾乳や乳房の洗浄などを行うシステムを取り入れています。見に行くと搾乳の真っ最中で、マシンが牛の乳房の位置を判別し順番に搾乳していく様子が見学できました。搾乳が終わり洗浄が済むと牛は自分で出ていき、順番を待っていた次の牛が入ってきました。その様子に参加の皆さんも感心しておられました。
餌の牧草や配合飼料、乳牛のお産や子牛の育成についても教えていただきました。

酪農で出た牛の糞尿を液体と固体に分離し、液体をパイプで牧場内のバイオマス施設へ送り、38℃で発酵させてメタンガスを取り出し、暖房や発電に利用している様子も見学しました。

さらに発酵後の消化液は野菜やハーブなどを育てる肥料としても利用されており、ビニールハウスで育てているものをその場で実際に試食させていただきました。
本当に無駄がない、牧場内で循環させる酪農・農業の取り組みをされているのがよくわかりました。

ランチでは牧場のチーズやハーブなどを使用したメニューを美味しく頂きました。

ランチの後に質問タイム。参加者から都市型の酪農についての質問が次々に出て、あっという間に時間が過ぎました。

午後からは神戸市立森林植物園を訪れ見学しました。
植物園のスタッフで長年植物園に関わってこられた福本市好さんにご案内いただきました。

最初に研修室で六甲山の歴史と自然環境についてお話を聞きました。今は緑豊かな山々が連なる六甲山系ですが、昔は燃料などとして森の木を伐ったり、火事や争いなどもあって、六甲山は一面「はげ山」だったそうです。土砂崩れなどをふせぐために段々に整地して植林を行っている写真も見せていただきました。

森林は放置していると遷移してその地域に合った極相林になります。しかし特定の樹木のみで安定してしまった極相森では環境の多様性がなく住める生物の種類も限られます。生物多様性やSDGs(持続可能)の観点からは、極相林だけでなく、適度に間伐などの手入れを行うことで森に光が入るようにし、様々な森林環境ができることが大切だというお話がありました。

その後、園内のガイドツアーに移り、展示されているジャイアントセコイアの年輪の解説を聞いたり、セコイアオスギの柔らかい樹皮を触ったり、イロハモミジやダイオウマツの葉を拾って、その語源などを解説いただきました。

「山火事」というと悪いことのように思われがちですが、植物の中には山火事の熱によって種子が飛び出したり発芽するなど、山火事が必要な植物もいるというお話や、「落葉樹は秋になって葉が落ちる頃になると、葉の栄養分を幹の方へほとんど移してしまってから葉を落とす、これも持続可能でSDGsですよ」という風に植物たちの生きざまをSDGsに例えて楽しくご紹介いただきました。

あいにくの雨模様で傘を差しながらの見学でしたが、六甲山の歴史と植物園の取り組み、植物たちの生態について色々と知ることができました。

参加者のアンケートからは

・住宅地のすぐそばに牧場があるのが驚きでした。24時間自動搾乳システムは驚きました。初めて見ました。ふん尿まで利用され、あますことなく使われているのはすごいと思いました。

・牛フンから作る消化液元気な野菜作りにとても良い肥料として使えることにビックリしました。ぜひ使ってみたいです。

・六甲の森林が再生林とは知りませんでした。昔と今の対比がとても印象に残りました。

・植物は動けないがしっかりと自分をコントロールしている点。自然の摂理について知るきっかけとなった。もっと勉強したい。

などの感想をいただきました。

ご参加ありがとうございました!

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