Reportイベントレポート

2022年03月30日
SDGsアクション 食と農から未来を変える

環境事業協会SDGs未来構想シンポジウム 食と農から未来を変える SDGsアクション

2021年3月20日(土・祝)に「環境事業協会SDGs未来構想シンポジウム 食と農から未来を変える SDGsアクション」を開催しました。

今回のシンポジウム「食と農」のテーマにたくさんの方に関心をもっていただき、オンラインで同時配信にした結果、全国から200人を超える方にご参加いただきました。

シンポジウムの様子は下記YouTubeサイトからご覧いただけます。

YouTube
↓↓↓
https://youtu.be/73-zt_Le4KY

発表資料は下記よりご覧ください。

【開会挨拶】

高木 亨  [(一財)環境事業協会理事長]
■発表資料 開会挨拶

【基調講演】

浅利 美鈴  [京都大学 大学院地球環境学堂 准教授・(一財)環境事業協会理事]

■発表資料「食と農の未来を変えるためのアクション ~SDGsを食品ロス、地産地消、温暖化など世界的視野から~」

基調講演では、約40年間のごみ調査結果からみえてくる「もったいない」ごみの実態と、SDGs・持続可能な社会の構築について発表いただきました。

●Point

・家庭から出るゴミの4割が食料品。そのうち約4割が食べられるけれども、手つかずの食品ロス。
・使い捨て商品が増えている(使い捨てマスク、紙おむつ等が社会の変化とともに)
・残飯による食生活の損失は10兆円以上、それに対して国内の農業・水産業の総生産額とほぼ同じ。
・食品ロスについては、事業からでる量と家庭から出る量はほぼ同じ。
・期限表示ができてから食品ロスが増えているといわれている。
・サーキュラーエコノミー(循環経済)が世界的なキーワード。
・私たちの暮らしは持続可能ではない。
・SDGsは、誰一人取り残さず、社会課題に取り組むチャンスを与えてくれる。

●食ロスを減らす具体的アクション

・食品の収納場所(食品庫)を減らす
・空腹で買い物しない
・期限表示に関わらずうまく五感を使って判断すること
・フードドライブに寄付

環境漫画家High Moonさんの作品には、階段を目の前にどんどん上っていく人と階段の存在にも気づいていない人々が描かれています。「環境問題に気付かない人に気づいてもらうことが重要。それが今まさに変わり目。事例を学び、私たちにできるアクションをおこしていきましょう。」と呼びかけられました。

【事例発表1】
谷 健次 [ハートランド株式会社 代表取締役社長]
「障碍者が主役、農福連携のビジネスモデル」(※公開資料なし)

「面倒で、厄介な仕事でも懸命に取り組めば世の中の役に立つ」というコクヨ(株)の精神のもと、農業で障碍者に就労の場を提供すること、新しい障碍者雇用のビジネスモデルの構築などを目的にハートランド(株)を設立されたこと、障がい者が主役になれる、さまざまな具体的な工夫について、お話いただきました。

●Point

・水耕栽培は作業を単純な作業の分割でき、知的障害の方でも理解しやすい。
・緑に囲まれた明るい職場、野菜の成長を日々感じながらやりがいのある仕事が天候に左右されず毎日ある。
・得意な仕事を見極めて、能力を伸ばしいきいきと働ける職場をつくる。(頼りにする、同じ目線で会話、など)
・作業所の施設外労働も受け入れ。延べ年間6~7000人前後の施設外労働の場。

【事例発表2】

松岡 賢司 [生活協同組合おおさかパルコープ 理事]

発表資料「もったいないをありがとうに 子ども食堂フードバンク」

おおさかパルコープの子ども食堂の取り組みと、貧困問題について発表いただきました。「食の問題を食品ロスだけにとどめるだけでなく、生活困窮者の支援につなげ、子ども達がしっかりご飯を食べれる世の中に我々大人がしていかなくてはいけない。」と呼びかけがありました。

●Point

・「フードバンク」とは、企業から食材食品を提供いただいて、生活困窮者などの配給する活動。
・「フードドライブ」とは、個人の家庭で余っている食べ物を持ち寄り、それらをまとめて福祉団体等に寄付する活動。現在広がりを見せている。
・フードバンクは民間のNPOがほどんど。手弁当で運営している団体だけで600万トンの食品ロスをどうにかすることはできない。
・おおさかパルコープで4年前にフードバンクを立ち上げ、58団体63か所の子ども食堂、シングルマザー支援団体3か所に提供している。
・大阪880万人中、170万人が貧困。そのことに目を背けてはいけない。

【事例発表3】

松井 大輔 [大和リース株式会社 BRANCH福岡下原 支配人]

発表資料「商業施設における社会貢献活動について」

企業がNPOと連携して行う地域貢献の仕組みやその成果について、松井様が身をもってフードバンクを知り、広めていくプロセスを紹介していただきました。

●Point

・大和リースの商業施設、BRANCHは人々の交流やコニュニティーの輪が広がることをめざす施設。
・NPOに施設に入っていただいて、地域のコミュニティーや地域活動を支援している。
・まちスポ(地域の交流スペース)の運営をNPOに任せることで、地域の課題が見えた。
・フードバンク、フードドライブを地域の方に知ってもらうために、映画『ゼロ円キッチン』上映会、豚汁の無料配布などのイベントを行った。
・このような活動は、直接利益につながらないが、地域の一員としてできることをやっていきたいと思い実施している。

【事例発表4】

空庭 みよこ [6次産業化プランナー]

発表資料「人と農、福祉をつなぐGreen Good Linkの取り組み」

マルシェを始めた経緯や、具体的な運営方法、6次産業の今後の展望についてお話いただきました。

●Point

・農薬を使わず良い作物を作るいい農家を応援したいと思い、始めたマルシェ。
・マルシェは、売る方も買う方も楽しい。
・農家さんのことを知れたり、料理が食べられたり、ゆっくり交流できるつながるマルシェをめざした。
・ぐりぐりマルシェ=Green Good Link 人・緑・農・食がつながるマーケット
・いつか受け入れられるとやり続け、今は定着した。
・今はさらにテーマ性をもって開催している。
・一次産業、二次産業、3次産業を掛け合わせることを6次産業化という。
・福祉施設だけが出展するのではなく、いろんな人が出店するノウフクマルシェが理想的。

【パネルディスカッション】
  

「大阪で食と農、人々をSDGs視点でつなげる事業構想ってなに?」

浅利先生から、「今日のシンポジウムの事例発表のなかで、具体的な取り組みが聞けました。この完成形に至るまでの、困難や大変だったこと、またそれをどう乗り越えたかについてヒントをいただきたい。」との問いに対して、それぞれ下記の回答がありました。

・これまで社内も取引業者さんも協力的であった。今、困難なのは、このコロナ渦のなかで、外食産業・製造業者の抱える在庫を民間NPOのフードバンクでは処理しきれていないこと。(おおさかパルコープ松岡様)

・フードバンク・フードドライブの活動を知ってもらうためにどうしたらいいかが困難だった。興味を持ってもらうイベントをすることで、知ってもらう機会を増やすことが大事だと思う。(大和―リース松井様)

・マルシェが定着するまでが大変だった。粘り強く続けたことが成果になった。(空庭様)

また、最後の質問で、

「SDGs社会、またコロナ化大変な状況の中、新たな付加価値をつけて取り組んでみたい事業構想について、お聞かせください。」との問いに対して、下記の回答がありました。

・私たち環境事業協会の仕事は、環境学習や、環境の情報発信。今、国内の格差がひろがり、悠長なことは言っていられない。個人がこれらの問題に何か取り組むには行政や我々がやるべきことがまだまだあると思っている。(環境事業協会高木理事長)

・企業や小売店などからの問い合わせが増えている。農家さん販路を広げてもらうだけでなく、観光などとの掛け合わせマッチングの部分に可能性がある。(空庭様)

・何も知らないところから、活動を知ることによって、地域の人に喜ばれて、必要としている人がいることを知った。こういったことに取り組む企業が増えることを願うとともに、行政と連携することに必要性を感じている。(松井様)

・まだまだこども食堂への偏見や不理解がある。SDGsがいいきっかけで、日本の社会、地域が農業・福祉・色んな団体・企業が手を取り合うことにつながればとおもう。(松岡様)

最後浅利先生から、「これまで、なかなか踏み込めなかったSDGsの1番や2番のテーマに真正面に向かえるようになったのも、コロナ渦の中大変な状況で、社会的に光を当てないといけないから。オンラインで世界の先例にもアクセスできるようになりました。縦割り社会を打ち崩すキーワードとしてSDGsを活用し、開けた形で学んでいきたいと思う。」と締めくくられました。

環境事業協会では「食」と「農」をテーマに具体的なアクションをこれから起こしていく計画です。今回のシンポジウムでできたつながりを大切にしたいと思っております。

ぜひ、みなさまの分野と共同でSDGsのビジョン達成に向けたムーブメントをつくっていきたいとおもいますので、今後ともよろしくお願いいたします。

★協会SDGsマルシェminiの出展者★


●大
阪市漁業協同組合 http://www.osakashigyokyo.or.jp/

●ビーワンエステなごみ http://ameblo.jp/iketen0131/

●Su-balance https://www.su-balance.com/

●京都グラノーラ工房 https://kyoto-gra-kb.stores.jp/

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